新潟事務所所属

私は、労働災害を含む事故賠償に関する案件を多く扱っています。
事故の案件について、責任のある者に対して損害賠償を求める、という枠組みは共通していますが、労働災害の特徴として、次の二つが挙げられると思います。
労働災害案件の二つの特徴
一つは、事故が多種多様であること、専門的な知識が必要となることから、事故状況の把握が大切であると同時に、見通しを立てることが難しいということです。
私が取り扱った案件でも、初めて聞くような機械や専門的な作業が問題となった事案がありますが、どの案件も対応の難しいものでした。それでも、弁護士がきちんと理解しなければ正当な賠償請求はできませんから、妥協することなく対応することが大切と思い、解決に取り組みました。
もう一つの特徴は、労働災害について責任のある者が使用者(勤務先等)であることから、過去の人間関係が関わることです。見ず知らずの者同士による交通事故とは大きな違いと言えます。
人間関係が関わることで何が難しくなるかと言うと、労働災害は、通常、労働者側の落ち度が問題となり、責任割合を定める必要があるのですが、過去の人間関係が関わることで感情的な対立に発展し、紛争がうまく解決しないことがあります。
紛争解決において、感情を抜きにはできないのが一般的ですが、感情に流されるあまり、良い解決を逃すことがあってはいけません。私は、依頼者の気持ちに寄り添いながらも、客観的な立場から、依頼人にとって良い解決に導くことが大切と考えています。
最後に
交通事故において労災制度が活用できることに触れたいと思います。
労災制度は、通勤途上の事故にも対応しており、加害者のいる交通事故であっても労災制度を利用することができます。
交通事故は、通常、加害者側の保険会社が賠償を行うわけですが、例えば、過失割合の争いが大きいために、保険会社が治療費の支払いを拒むことがあります。そのような場合に、労災制度を利用して治療費等の支払いを受けることができます。自動車保険と異なり、労災保険は「労働者を救済するための保険」であることから、私の経験上、労災保険は、被災者に寄り添った対応をしてくれ、治療が十分に受けられる場合があると考えています。
このように、労災制度利用の経験を活かし、様々な紛争解決の方法をサポートできればと考えています。