1.治ゆとは

業務上または通勤により発生した負傷や疾病が、治ゆ(症状固定)したときは、療養補償や休業補償の支給は打ち切られますが、身体に一定の障害が残った場合には、障害(補償)給付の対象になります。

治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態のことをいいます。傷病が完治した状態をいうのではなく、労災保険の療養の範囲として認められた治療をしても、その傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態をいいます。実験的または研究段階のような治療ではなく、通常の医療を施しても、症状が固定したときに、身体障害が残った場合には、障害(補償)給付の対象になります。

2.障害認定

体障害の障害等級表は、次の通りになります。

労働者災害補償保険法施行規則
障害等級 給付の内容 身体障害
第1級 当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の313日分
  1. 両眼が失明したもの
  2. そしやく及び言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  5. 削除
  6. 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  7. 両上肢の用を全廃したもの
  8. 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  9. 両下肢の用を全廃したもの
第2級 当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の277日分
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になつたもの
  2. 両眼の視力が0.02以下になつたもの
    2の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
    2の3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  3. 両上肢を手関節以上で失つたもの
  4. 両下肢を足関節以上で失つたもの
第3級 当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の245日分
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になつたもの
  2. そしやく又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失つたもの
第4級 当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の213日分
  1. 両眼の視力が0.06以下になつたもの
  2. そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失つたもの
  4. 1上肢をひじ関節以上で失つたもの
  5. 1下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第5級 当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の184日分
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になつたもの
    1の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    1の3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  2. 1上肢を手関節以上で失つたもの
  3. 1下肢を足関節以上で失つたもの
  4. 1上肢の用を全廃したもの
  5. 1下肢の用を全廃したもの
  6. 両足の足指の全部を失つたもの
第6級 当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の156日分
  1. 両眼の視力が0.1以下になつたもの
  2. そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
    3の2 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  4. せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  5. 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  6. 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  7. 1手の5の手指又は母指を含み4の手指を失つたもの
第7級 当該障害の存する期間1年につき給付基礎日額の131日分
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になつたもの
  2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
    2の2 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  3. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 削除
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失つたもの
  7. 1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの
  8. 1足をリスフラン関節以上で失つたもの
  9. 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側のこう丸を失つたもの
第8級 給付基礎日額の503日分
  1. 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になつたもの
  2. せき柱に運動障害を残すもの
  3. 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指を失つたもの
  4. 1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの
  5. 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  8. 1上肢に偽関節を残すもの
  9. 1下肢に偽関節を残すもの
  10. 1足の足指の全部を失つたもの
第9級 給付基礎日額の391日分
  1. 両眼の視力が0.6以下になつたもの
  2. 1眼の視力が0.06以下になつたもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. そしやく及び言語の機能に障害を残すもの
    6の2 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
    6の3 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  7. 1耳の聴力を全く失つたもの
    7の2 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
    7の3 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  8. 1手の母指又は母指以外の2の手指を失つたもの
  9. 1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの
  10. 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失つたもの
  11. 1足の足指の全部の用を廃したもの
    11の2 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  12. 生殖器に著しい障害を残すもの
第10級 給付基礎日額の302日分
  1. 1眼の視力が0.1以下になつたもの
    1の2 正面視で複視を残すもの
  2. そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
  3. 14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    3の2 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  4. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  5. 削除
  6. 1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの
  7. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
  8. 1足の第1の足指又は他の4の足指を失つたもの
  9. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  10. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級 給付基礎日額の223日分
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
    3の2 10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    3の3 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  4. 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  5. せき柱に変形を残すもの
  6. 1手の示指、中指又は環指を失つたもの
  7. 削除
  8. 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
  9. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級 給付基礎日額の156日分
  1. 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
  4. 1耳の耳かくの大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
    8の2 1手の小指を失つたもの
  9. 1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
  10. 1足の第2の足指を失つたもの、第2の足指を含み2の足指を失つたもの又は第3の足指以下の3の足指を失つたもの
  11. 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
  12. 局部にがん固な神経症状を残すもの
  13. 削除
  14. 外貌に醜状を残すもの
第13級 給付基礎日額の101日分
  1. 1眼の視力が0.6以下になつたもの
  2. 1眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
    2の2 正面視以外で複視を残すもの
  3. 両眼のまぶたの1部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
    3の2 5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    3の3 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
  4. 1手の小指の用を廃したもの
  5. 1手の母指の指骨の一部を失つたもの
  6. 削除
  7. 削除
  8. 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
  9. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失つたもの
  10. 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
第14級 給付基礎日額の56日分
  1. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
  2. 3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    2の2 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  3. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  4. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 削除
  6. 1手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  8. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
  10. 削除

※給付基礎日額とは、業務上または通勤による負傷や傷病の発生が確定した日の直近3カ月にその労働者に対して支払われた賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)をその期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額のことをいいます。

障害等級表に掲げる身体障害が2以上ある場合は、重い方の身体障害に該当する等級になります。これを併合といいます。また、第13級以上の等級の身体障害が2以上あるときは、次のように等級を繰上げて、等級を決めます。

① 第13級以上に該当する身体障害が2以上ある場合、重い方の身体障害の等級を1級繰上げます。
② 第8級以上に該当する身体障害が2以上ある場合、重い方の身体障害の等級を2級繰上げます。
③ 第5級以上に該当する身体障害が2以上ある場合、重い方の身体障害の等級を3級繰上げます。

また、障害等級表に掲げるもの以外の身体障害がある者については、その障害程度に応じ、障害等級表に掲げる身体障害に準じて、等級を定めるとされています。

3.給付内容

障害(補償)給付は、障害の程度に応じて等級が定められています。障害等級は、1級から14級までに区分されていて、1級が最も重い等級になります。
障害等級が1級から7級に該当する場合には、障害(補償)年金が支給され、障害等級が第8級から14級に該当するときは、障害(補償)一時金が支給されます。

4.請求手続きについて

被災労働者は、症状が治ゆした後(症状固定後)に、所管の労働基準監督署に対し、「障害補償給付・複数事業労働者障害給付支給請求書」(様式第10号)または、「障害給付支給請求書」(様式第16号7)を提出します。この請求書には、事業主の証明を記載する欄があります。請求書を提出する場合、事業主の証明が必要になりますが、事業主が、様々な理由から証明してくれないこともあると思います。このような場合でも、労働基準監督署は、請求書を受理し、事業主から「証明拒否理由書」を提出させる、事情聴取をする等の対応をとっています。また、請求書には、医師の診断書(必要に応じてレントゲン等の資料)を添付します。

また、同一の事由によって、障害厚生年金、障害基礎年金等の支給を受けている場合には、併給調整が行われるので、年金の支給額を証明することができる資料の提出が必要になります。
なお、障害(補償)等給付は、傷病が治った日の送日から5年を経過すると時効により請求権が消滅するので注意が必要です。

参考文献:厚生労働省・都道府県労働局、労働基準監督署「障害(補償)等給付の請求手続」

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