労災保険の給付を受けるまでの流れについてご説明します。

1.請求書類の提出

労災保険の給付を受けるためには、所定の請求書類を医療機関や労働基準監督署(以下「労基署」)に提出する必要があります。

提出の手続は、勤務先が代行してくれる場合も多いので、どのように手続をするかについては、まずは勤務先に相談してみるとよいでしょう。

ご自身で書類を提出して手続する場合でも、請求書類には事業主の証明欄があるため、原則として勤務先からハンコをもらう必要があります。万が一、勤務先が手続に協力してくれない場合には、「労災隠し(勤務先に労災申請への協力を拒否された場合)への対処方法」のコラムをご覧ください。

提出する書類は、給付の種類によって書式が決まっています。

傷害事故でよく利用する書式を以下にあげておきます(その他の書式は厚生労働省のサイトをご確認ください)。

①療養(補償)給付…入院手術費、診察費、薬代など治療費の給付

【業務災害の場合】
・労災指定病院・薬局の書式:様式第5号
・労災非指定病院の書式:様式第7号⑴
・労災非指定薬局の書式:様式第7号⑵

【通勤災害の場合】
・労災指定病院・薬局の書式:様式第16号の3
・労災非指定病院の書式:様式第16号の5⑴
・労災非指定薬局の書式:様式第16号の5⑵

※労災指定病院で治療を受けた場合、労災に認定されると治療費は病院に対して直接支払われます。一方、労災指定病院以外で治療を受けた場合には、被災者が治療費を窓口で一旦支払う必要が生じますので、労災にあった場合には、なるべく労災指定病院で治療を受けるのがよいでしょう。

②休業(補償)給付…治療のため仕事を休んだ分の賃金の補償

【業務災害の場合】
休業補償給付等支給請求書(様式第8号)

【通勤災害の場合】
休業給付等支給請求書(様式第16号の6)

③障害(補償)給付…後遺障害が残った場合の補償

【業務災害の場合】
障害補償給付等支給請求書(様式第10号)

【通勤災害の場合】
障害給付等支給請求書(様式第16号の7)

※申請にあたっては、後遺障害に関する診断書を医師から作成してもらい、添付する必要があります。

2.労基署による調査

申請内容に基づき、労基署が、勤務先や医療機関等に対し、労災保険給付の可否を判断するために必要な調査を行います。

3.労災保険の給付

調査の結果、労働災害と認定されれば、各種給付金が支払われます。

労災認定がされず、決定に不服がある場合には、審査請求という手段をとることができます。審査請求でも判断が覆らない場合、裁判(行政訴訟)で決定の妥当性を争うこともできます。