大型プレス機での作業中に右手の指を切断し後遺障害等級7級と認定された事例(横浜地裁昭和61年10月30日判決)

■事案概要

被災者は、金属加工会社に勤務し、80トンの大型プレス機を操作してのピアスファーム型製品の加工作業中に、鉄板材料をとりあげ、機械の板上に置き、手を離そうとした瞬間、プレス部分が下降し、右手甲を挟圧されたという労災事故にあいました。

 

被災者は、本件の労災事故により、右手第2,3,4,5指の不全切断及び循環障害等の怪我を負いました。

 

その後、症状が固定し、後遺障害等級7級6号と認定されました。

■裁判所の判断

裁判所は、本件の機械は、80トンのプレス機で強力な圧力をかけて板金等加工する機械であるから、その操作には危険を伴うものであり、しかも、プレス圧縮のとき両手でボタンを押す両手操作式の安全装置を使用せず、足踏みペダルで作動させていたことから、危険性はさらに大きいものであり、事業者としては、機械の構造、性能を熟知させ、操作の方法にも訓練を施すなどの安全配慮義務があると認定し、本件では、そのような対応がとられていなかったとして安全配慮義務違反を認めました。

 

裁判所は、後遺障害等級7級の後遺障害に対して、損害として、後遺障害慰謝料(670万円)、後遺障害逸失利益(約3841万円)等合計約5059万円を損害として認定しました。

 

過失相殺については、本件機械は足踏みペダルで作動するようになっていたところ、被災者が台の上に材料を置くために手を出している間に誤って右のペダルを踏み本件機械を作動させたと推定されるとして、40%の過失相殺をすることが相当と判断されました。

 

その他、労災保険より支払われたものを控除し、最終的には、約2600万円の支払いを命ずる判決となりました。