死亡事故の場合、相続人全員がそろわないと賠償してもらえない?

労災事故によりA男さんが死亡。A男さんの妻B子さんは、長男C太さんと一緒に会社に対して労災に関する損害賠償請求をしましたが、会社からは、「相続人全員のハンコがないと支払いができない」と言われてしまいました。

確かに、Aさんには、D介さんという弟がいるのですが、D介さんはもう何年も疎遠になっており、B子さん・C太さんとしては、できればD介さんとは連絡をとりたくありません。Aさんとお母さんの分だけでも支払ってもらいたいのですがどうしたらよいのでしょうか。

死亡事故の場合、亡くなられた方について相続が発生します。

そうすると、労働災害によって発生した損害賠償請求権は、通常、法定相続人に相続分に応じて相続されます。

事例の場合、B子さんが1/2、C太さんとD介さんが1/4ずつ相続することになります。

このような場合、裁判例によれば、それぞれの相続人が、別々に自身の相続分に応じて請求することが認められています。

もっとも、中には誰が相続人か複雑なケースもあるので、過誤払いを避けるために、事例のような対応をされることが、しばしばあります。中には、裁判所の判決がないと支払わないという会社もあります。

会社がこのような対応する場合には、弁護士によって交渉するかもしくは裁判によって解決することが必要になるでしょう。

会社が労災申請に応じてくれない!?

労働災害が発生した場合、会社が労災申請手続きをしてくれることがあるかと思います。

ですが、そもそも、労災申請をする権利は労働者にありますので、自分で労災申請をすることが可能です。

労災申請をするためには、事業主から、[1]負傷又は発病の年月日及び時刻、[2]災害の原因及び発生状況等の証明してもらわなくてはなりません。

事業主からの証明が得られない以上は、その証明のないまま労災保険給付等の請求書を提出することになります。

ただ、その場合でも、労働基準監督署に対し、事業主に労災の証明をしてもらえなかった事情等を記載した文書を添えて提出することになります。

刑事記録を取り寄せたい

労災事故で特に死亡事故の場合には、事業主に対し罰金等の刑事処罰がなされる場合が通常です。

その場合、司法警察職員(労働基準監督官)が、捜査をして刑事処分をするための証拠資料を作成することになります。

その資料の中には、事業主に対する損害賠償請求にも役立つものが多くあると考えられますが、刑事記録を取り寄せるためには、そのための手続きが必要になります。

刑事記録の取り寄せは、当該事件が起訴されているか否か、確定しているか否かによって手続きが異なります。弁護士にご相談いただければスムーズです。

是非ご相談下さい。