労災保険の様式8号(休業補償給付支給請求書)とは?書き方・計算方法を解説

様式8号(休業補償給付支給請求書)は、業務上の怪我や病気で働けず、賃金を受け取れない期間の「休業補償給付」を請求するための重要な書類です。

申請者本人(労働者)が、管轄の労働基準監督署へ提出します。

本記事では、初めて労災の手続きをおこなう方に向けて、様式8号で請求できる給付の要件、他様式(5号・7号・16号の6)との違い、入手方法・提出先、具体的な記入ポイントや計算で迷いやすい点、さらには初回と2回目以降の違いまで、実務で迷いやすい点を網羅的に解説します。

目次

1. 様式8号で請求できる給付と対象条件

様式8号は休業(補償)等給付を請求するための様式です。

休業(補償)対象となるには、休業や支給開始日、賃金支払いの有無など複数の要件を満たす必要があります。


対象条件は一見シンプルですが、実務では賃金の扱いと休業日数の数え方でつまずきやすいです。

例えば会社(企業)から何らかの手当や見舞金が出ている場合、それが賃金に当たるかどうかで、休業(補償)の請求可否、給付の金額に影響します。


また、休業は怪我や病気が理由であるだけでなく、療養が必要で、その療養のために労働できないことが前提になります。

休業(補償)等給付の申請にあたり、医師の証明内容と請求期間が正確に一致しているかが、審査上の重要な確認点です。

1-1. 休業(補償)等給付の概要

休業(補償)等給付は、労働災害による療養で就労できない期間に、賃金が途絶えることによる生活上の空白を埋めるために支給されます。

参照 「休業補償給付」「休業特別支給金」とは

  • 休業補償給付
    業務災害による休業4日目以降の所得補償(日額の60%)
  • 休業特別支給金
    社会復帰促進等事業の一環として支払われる上乗せ分(日額の20%)

支給の考え方で重要なのが「待期期間」です。

原則として休業の最初の3日間は「待期期間」となり、労災保険からの給付は4日目以降が対象になります(※業務災害の場合、労働基準法第76条により最初の3日間は事業主が平均賃金の60%を休業補償する義務を負います)。

いつを休業1日目として数えるかにより請求期間のズレが起こりやすくなります。


また、休業(補償)給付の申請の様式は災害区分で分かれます。

業務災害の休業は様式8号、通勤災害の休業は別様式(様式16号の6)で請求します。

様式8号は、「休業補償給付(労働者災害補償保険法第14条)」の請求だけでなく、あわせて支給される「休業特別支給金」等の申請を行うための書類です。

1-2. 請求できるケース・できないケース

請求できる典型は、労災が原因の傷病で療養しており、その療養のために労働できず、休業した日に賃金を受けていない場合です。

「賃金」は名目上の給与だけでなく、休業期間に会社が支払う「各種手当」が実質的に賃金に当たるかどうかも含めて判断されます。


請求が難しくなるケースは、休業日に賃金が支払われている場合や、医師の判断として労働不能とまではいえない場合です。

療養している事実はあっても、軽易な作業なら可能と判断されると、請求期間の全てが認められないこともあります。


なお、仕事中の移動で交通事故に遭った場合、加害者が存在する「第三者行為災害」として扱われます。

この場合、労災保険と加害者が加入する自賠責保険(および任意保険)の両方に対して請求権が発生しますが、同一の損害項目について「二重取り」をすることはできません。


また、休業補償を請求する際、特に判断が分かれやすいのが「部分就労」や「年休(有給休暇)扱い」の扱いです。


労災保険から給付を受けるには、法的に「療養のため労働不能であること」および「賃金を受けていないこと(労災保険法第14条)」という2つの条件を同時に満たす必要があります。


以下のケースでは、この条件に抵触し、給付額が減額されたり、支給対象外となったりする恐れがあるため注意が必要です。

  • 年休(有給休暇)を使用した場合
    年休処理をして給与が出ている日は、法的に「賃金を受けている」とみなされます。
    たとえ療養中であっても、労災保険との二重取りはできないため、その日は給付の対象外となります。
  • 短時間の出勤や在宅での一部業務(部分就労)
    「1日2時間だけ事務作業をした」「在宅でメール対応のみ行った」という場合、その時間は「労働可能」と判断されます。
    この場合、支払われた賃金額によっては、給付が一部カットされるか、全額支給されないケースがあります。

これらの扱いは、会社の「休職規程」や「給与計算」のルールに大きく左右されます。

請求後に「思ったより支給額が少ない」「不支給になった」という事態を防ぐため、書類を提出する前に以下の確認・対応が重要です。

  1. 会社側と調整
    該当する日を「欠勤」とするのか「年休」とするのか、処理方針をすり合わせる。
  2. 医師の意見と整合させる
    会社の勤務実績(少し働いた等)と、医師が証明する「就労不能期間」に矛盾がないか確認する。


実態と書類の内容が食い違っていると、労働基準監督署からの調査が入り、支給決定までに時間を要する原因となります。

2. 様式5号・様式16号の6との違い

労災の「治療費(療養給付)」と「休業補償」はまったく別の給付であり、請求様式も異なります。

治療費の手続きをしただけでは休業補償は支給されません。


様式を取り違えると手続きが差し戻され、生活資金となる給付の遅れに直結します。

手続の初動では、「何のための請求か」「業務災害か通勤災害か」を整理し、正しい様式を選ぶことが重要です。

2-1. 様式5号(療養給付)との違い

様式5号は労災指定病院で現物給付として「治療(療養)」を受けるための請求書類です。

一方、様式8号は「休業中の所得補償」に関する請求であり、同じ労災でも目的がまったく異なります。

目的が違う以上、それぞれに適切な手続きが不可欠です。


労働者側として「治療開始の手続」と「休業が発生した後の請求手続」を明確に分けて考え、それぞれの手続きをきちんと進めましょう。

労災の様式第5号とは?書き方・記入例・ダウンロードと提出先を解説

労災事故でケガや病気をしたとき、無料で治療を受けるために不可欠な書類が「様式第5号(療養補償給付及複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書)」です。 しかし、業務災害(仕事中の災害)か通勤災害か、指定医療機関か指定外か […]

2-2. 様式16号の6(休業給付支給請求書)との違い

様式8号は「業務災害」の休業補償給付、様式16号の6は「通勤災害」の休業給付を請求する様式です。

記載項目の内容は似ていますが、災害区分が違うため、提出様式を誤ると補正や差戻しになり、結果的に支給が遅れます。


各申請書の左上には「様式第8号 [業務災害用 複数業務要因災害用]」「様式第16号の6 [通勤災害用]」の記載があり、区別することができます。


「業務災害か通勤災害か判断に迷うケース(専用バスでの移動中や、自宅からの直接現場への機材搬送など)もあります。

様式を間違えると最初からやり直しになるため、迷った際は会社や労基署へ事前に確認しましょう。

2-3. 様式7号(療養費用請求書)との違い

様式7号は、労災指定医療機関「以外」の病院で治療を受け、窓口で治療費をいったん全額立て替えて支払った費用を、後から返金してもらう(現金給付)ための書類です。

治療費に関する請求という点では様式5号と同じですが、労災指定医療機関かそれ以外という点で異なります。

労災 様式7号とは?対象・入手方法・書き方・提出の流れ

労働災害の中でも「業務災害」によるケガや病気で治療を受ける際、労災指定医療機関以外を受診した場合には、治療費を一時的に自己負担することになります。 この立て替えた費用をあとから国(労働基準監督署)に請求し、払い戻しを受け […]

ご相談予約専用ダイヤル

0120-15-4640

受付時間 平日9:00-18:00/土曜9:00-17:00

3. 様式8号はどこで入手する?ダウンロード先

様式8号は、オンラインか労働基準監督署の窓口で入手できます。


様式は、最新版を使用することが大切です。

提出された様式は、労働基準監督署の機械で読み取りますが、古い様式や印刷状態の悪いものは読み取りできない可能性があり、記入上の不備や差戻しの原因になります。

3-1. 厚生労働省の労災保険給付関係主要様式から探す

厚生労働省のホームページ内、「労災保険給付関係主要様式」のページから、休業(補償)等給付関係の分類に進むと様式第8号を無料でダウンロードできます。

目的別に分類されているため、休業に関する欄から簡単に見つけることができます。

様式にはOCRや直接入力に対応したPDFファイルが用意されています。

パソコン上で入力してから印刷することで、氏名や日付、平均賃金などの重要項目を読みやすい形で提出できます。


様式8号の同じページには平均賃金関係の様式など、関連書類が並んで掲載されています。

休業補償の金額は、事故直前3か月間の給料の平均(給付基礎日額)をベースに計算されます。

そのため、「平均賃金算定内訳書(様式第8号(別紙1))」をあわせて提出します。


また、別紙1の裏面(③特別給与の額)には、負傷又は発病の日以前2年間に支払われたボーナス(特別給与)を記入する欄があります。

ボーナスは現在の休業補償の金額には反映されませんが、将来もし後遺障害が残ってしまった場合などに支払われる「ボーナス分の上乗せ給付(特別一時金など)」の金額を決める情報となります。

万が一の事態に備えて単価(算定基礎日額)を確定させておくために、初回手続きの際に併せて記入・提出しておくのが実務上の流れとなっています。

3-2. 労働基準監督署で入手する

所轄の労働基準監督署の窓口でも様式8号を入手できます。

印刷環境がない場合や、どの様式を使うべきか確信が持てない場合には、窓口で用紙を受け取り、その場で不明点を直接質問して確認できる点が大きなメリットです。

4. 様式8号の提出先と提出タイミング

様式8号の提出においては、正確な提出先(所轄)の把握と、いつ・何日分を区切って請求するかのタイミングが重要です。

療養が長引く場合、まとめて一回で出すより、一定期間ごとに請求することも可能です。

4-1. 提出先(所轄労働基準監督署)

提出先は原則として会社の事業所(所属する支店や工場など)を管轄する労働基準監督署です。

所轄は、一般的に事業場の所在地で決まります。

被災者の住所地ではありません。

迷ったら会社の総務や労務担当、最寄りの労基署に確認するのが確実です。


窓口や郵送による提出が可能です。

どの方法でも、控えの保管と、送付した日付が分かる形で記録を残しておくと、問い合わせ対応がしやすくなります。

様式8号は事業主の証明欄があるため、会社の協力が必要になる場面が多いです。

会社が労災を認めないなど、証明を拒否する場合でも労災申請は可能です。

管轄の労基署に相談し、直接申請をおこないます。

労災を会社が認めない場合でも労災保険請求はできる!被災労働者の対応方法を全解説

労働者災害補償保険制度(労災保険制度)は、業務中や通勤中に発生する労働者の負傷、疾病、障害、死亡など対して保険給付をおこなうことで、社会復帰を促進し、被災労働者やその遺族の福祉を増進することを目的にしています。 しかし、 […]

4-2. 提出のタイミングと請求の単位(いつまで・何日分)

請求対象は原則として休業4日目以降です。

最初の3日は待期期間となるため、請求期間を区切るときは、待期期間を含めてしまわないよう注意してください。


どの期間をまとめて請求するかは、休業が短期で終わるか、長期化するかで考え方が変わります。

短期なら休業期間が確定してからまとめて提出すればよいですし、長期化する場合は1ヶ月ごとの給与の締め日に合わせて複数回請求して、生活費の空白期間を短くするのも一つです。


長期療養の場合、どの期間を一回の請求にまとめたのか、次回はどこからどこまでなのかを曖昧に管理してしまうと、二重請求や請求漏れの原因になります。

後遺障害が残るような長期の事案では、この期間管理が特に重要です。


なお、休業補償給付の請求権の時効は「賃金を受けない日の翌日から2年」です。

過去の日の分から1日ごとに時効を迎えます。

「後からまとめて請求しよう」と考えていると、過去の休業補償の給付が時効により請求できなくなる可能性があるため、休業が長期化する場合には特に注意が必要です。

4-3. 初回請求と2回目以降の請求手続きの違い

1回目の請求と2回目以降の請求では、記入の手間や必要書類が異なります。

  • 初回請求時
    平均賃金の計算方法を示す「平均賃金算定内訳(別紙)」の添付が必要であり、賃金台帳や出勤簿の写しの提出が求められます。
  • 2回目以降
    裏面の「平均賃金」欄等の記載を省略でき、「平均賃金算定内訳(別紙)」の添付も不要になります。
    ただし、休業期間や事業主証明、裏面の医師の証明は毎回必要です。

参照 様式第8号で2回目以降の請求(申請)で記載省略できる項目例
・労働者の職種
・負傷又は発病の時刻
・平均賃金(算定内訳別紙1のとおり)
・所定労働時間
・災害の原因、発生状況及び発生当日の就労・療養状況

5. 様式8号の書き方(表面)

実際の記入方法について、様式のひな形をもとに解説します。

労災保険の様式第8号(表面)の記入例

5-1. 記入不要の箇所

様式第8号では、被災労働者において記入不要の箇所があります(※印の箇所)。

表面では、「様式上部」と休業補償の「振込先口座記入欄」の一部箇所について記入が不要です。

■ 記入不要箇所
①管轄局署、③新継再別、④受付年月日、⑧業通別、⑨三者コード、⑩日雇コード、⑪特別加入者、⑬日数査定、⑭特支コード、⑮委任未支給、⑯特別コード、⑰平均賃金、⑱特別給与の額

■ 記入不要箇所
㉑金融機関コード、㉒郵便局コード

5-2. 労働者の情報欄

労働者が記入する欄は、氏名・住所などの基本情報です。

事故発生日(年月日)、発病の状況、怪我をした時刻と場所、傷病の名称、休業期間など請求の基本となる情報が中心です。

② 労働保険番号

勤務先の事業所に付与されている14桁の番号です。

労働局から現場や支店ごとに番号が異なるため、必ず会社の担当者に確認してください。

労働保険番号が分からない場合、加入先の労働保険団体に直接確認することもできます。

⑤ 労働者の性別、⑥ 労働者の生年月日、⑫ 労働者の氏名、住所

被災労働者の方の情報を記入します。

⑦ 負傷又は発病年月日

被災労働者の方が実際にケガをした日、または病気と診断された日を記入します。

5-3. 休業日数の欄


休業日数は、様式の指示に従って数えます。

⑲ 療養のため労働できなかった期間

この期間には、休業(補償)給付の待機期間である3日間を含めます。


例えば、業務中に負傷して、病院へ搬送された場合はその日が初日となります。

その他、労災に遭ったあとも定時まで勤務をした場合、定時後に労災に遭った場合は、翌日以降が初日となります。

⑳賃金を受けなかった日の日数

期間で計算するため、土日祝日も含めます。

なお、休業期間中に有給休暇を取得した場合、その日数を差し引きます。


例えば、休業補償給付が支給されない待期期間の3日間について、有給休暇を取得した場合は、「3日間」を差し引いた日数を記入します。

有給休暇(年次有給休暇)を使用して、会社から部分的に、あるいは全額給与を支払ってもらっている場合には「様式8号(別紙2)」の提出が必要です。

5-4. 振込先口座の欄

給付を受け取る口座の情報を記入します。

5-5. 事業主の証明欄

⑫の者については、⑦、⑲、⑳、㉜から㊳まで(㊳の(ハ)を除く。)及び別紙2に記載したとおりであることを証明します。

事業主に記入を受けます。

万が一、会社が「労災とは認めない」と主張して事業主証明を拒否した場合でも、労働基準監督署に事情を説明し、事業主の証明なしで直接提出(申請)することが可能です。

この場合、最寄りの労働基準監督署、都道府県労働局、弁護士に今後の対応について相談します。

労災を会社が認めない場合でも労災保険請求はできる!被災労働者の対応方法を全解説

労働者災害補償保険制度(労災保険制度)は、業務中や通勤中に発生する労働者の負傷、疾病、障害、死亡など対して保険給付をおこなうことで、社会復帰を促進し、被災労働者やその遺族の福祉を増進することを目的にしています。 しかし、 […]

ご相談予約専用ダイヤル

0120-15-4640

受付時間 平日9:00-18:00/土曜9:00-17:00

5-6. 診療担当者の証明欄

各項目について、医師から記入を受けます(㉘傷病の部位及び傷病名、㉙療養の期間、傷病の経過(㉚療養の現況、㉛療養のため労働することができなかったと認められる期間))。


「㉙療養の期間」が、先の「⑲ 療養のため労働できなかった期間」と矛盾しないか、注意が必要です。

医師の証明から、就労不能期間が読み取れるか、労働不能の状況の裏付けになっているかを提出前に確認しましょう。


多忙な医師は診療の合間に証明欄への記入をおこなうため、必要に応じて会社の勤務状況や具体的な業務内容を医師へ共有してください。

受診日や診断内容、就労可否の判断と実態のズレを防ぐことで、後日の訂正手続きを回避できます。

6. 様式8号の書き方(裏面・別紙)

6-1.  ㉜労働者の職種

被災労働者の「職種」は、作業内容がわかるように具体的に記入します(記入例 配送ドライバー、鉄塔高所作業員など)。

6-2.㉝ 負傷又は発病の時刻

労災事故により負傷した時刻や症状が出た時刻を記載します。

6-3.㉞平均賃金(算定内訳別紙1のとおり)

労災事故の直近3ヶ月間の給料をもとに算定した1日あたりの平均賃金です。

「平均算定内訳(別紙1)」にそって計算した金額を記入します。

6-4.㉟所定労働時間

就業規則や雇用契約書であらかじめ定められた、始業時刻から終業時刻を記入します。

6-5. ㊲災害の原因、発生状況及び発生当日の就労・療養状況

「いつ」「どこで」「誰が」「何をしていて」「どうなったか」を具体的に書きます。

災害状況の欄は、労基署が「本当に労災かどうか」を判断する最も重要な部分です。

「作業中にケガをした」だけでは不十分です。 「旋盤加工の作業中、回転部に手が巻き込まれた」のように、業務との関連性(業務起因性・業務遂行性)が読み取れるように次のポイントを押さえて記述します。

参照 記入のポイント
次の点を踏まえて、労災事故の発生原因と状況を記入します。

(あ)どのような場所で、
(い)どのような作業をしているときに
(う)どのような物または環境に、
(え)どのような不安全または有害な状態があって、
(お)どのような災害が発生したか

また、会社が労基署に提出する「労働者死傷病報告」の内容や、その他の記載内容と矛盾がないように注意します。

7. 別紙の種類と添付が必要なケース

事案によっては、別紙や追加の書類提出を求められることがあります。

様式8号に関連する別紙には、主に以下の種類があります。

  • 別紙1(平均賃金算定内訳)
  • 別紙2(部分算定日がある場合)
  • 別紙3(複数事業労働者の平均賃金算定内訳)

複数の会社で働いている(複数事業労働者)場合に使用します。 合算した平均賃金を基に給付額が計算されます。

何を添付するかは状況やケースにより異なります。

不安がある場合、所轄の労基署に確認のうえで揃えると良いでしょう。

自己判断で省略すると再提出になりやすく、給付に時間がかかってしまう可能性があります。

7-1. 平均賃金算定内訳(様式第8号(別紙1))

初回申請時に、別紙1を必ず添付します。


平均賃金は、休業補償の金額を決める極めて重要な項目です。

原則として、事故発生日直前3か月間に支払われた賃金総額をその期間の暦日数で割って算定します(労働基準法第12条)。


平均賃金の計算において、賞与や臨時に支払われる賃金(特別給与)は算定基礎から除外されます(別紙2に記載します)。

賃金支払いの有無は、給与の支給だけでなく、会社からの住居手当、通勤手当なども、平均賃金の計算に含まれます。

7-2.部分算定日がある場合(様式第8号(別紙2))

労災の休業補償を請求する際、完全に1日も働かず、賃金も1円も出ていない日を「全部休業日」と言います。

これに対し、「少しだけ働いた」あるいは「働いていないが手当だけは出ている」日を「部分算定日」と言い、この場合は「別紙2」の添付が必要です。

労働基準監督署は、この内容を踏まえて休業(補償)給付の支払いにあたり調整を行います。


以下のいずれかに該当する日は、たとえ療養中であっても「全部休業」とはみなされず、別紙2での報告対象となります。

  • 一部出勤している場合
    1日のうち数時間だけ出勤した、あるいは在宅で一部の業務を行い賃金の支払いを受けている場合。
  • 手当が支払われている場合
    出勤はしていないが、会社から「住居手当」「家族手当」などが減額されずに支給されており、賃金が完全にゼロではない場合。

8. 様式8号の注意点とよくある不備

差戻しによる支給遅れを防ぐには、提出前に記載した内容に矛盾がないかを再確認することが不可欠です。

8-1. 様式の取り違え、別紙の添付漏れ

「治療(様式5号・7号)」と「休業(様式8号)」は別審査です。

また、休業給付でも「業務災害」か「通勤災害(様式16号の6)」かによっても様式が異なります。

目的と災害区分に誤りがないか、確認を行ってください。


また、初回には必ず別紙1を添付します。

部分算定日がある、複数の会社で働いている場合には別紙2、別紙3をそれぞれ添付し申請します。

8-2. 計算ミスと期間の重複に注意

休業補償給付の支給額に大きな影響がある「平均賃金」の算定は正確に行いましょう。

特に長期療養では、請求期間の重複や漏れを防ぐため、出勤簿・診断書・給与支払期間を一つのカレンダーに集約して管理するのが有効です。

8-3. 証明漏れと会社が拒否した場合の対応

前述の通り、医師の証明(就労不能期間)と労働者が記入した休業期間の矛盾や、証明漏れは差戻しの典型例です。

提出前に記載内容の整合性を必ず再確認してください。


また、会社が証明を拒否した場合でも、労基署への直接相談で申請可能なため諦める必要はありません。整骨院(柔道整復師)やはり・きゅう施術の場合、医師の同意が必要なケースや、回数制限、施術部位の限定などの要件が厳格です。

9. 相談先(労働基準監督署・社労士・弁護士)

記入内容や要件の判断に迷ったときは、専門家への相談をおすすめします。

初動が早いほど、手続きの遅れや会社とのトラブルを最小限に抑えられます。

相談先は、お困りの内容に合わせて選ぶと解決がスムーズです。

9-1. 労働基準監督署:手続きの「公式窓口」

提出先である労働基準監督署は、手続きの進め方や必要書類を正確に確認できます。

「どの様式を使えばいいか」「添付書類は何が必要か」「自分の管轄はどこか」など、事務的な入り口で迷った際は、まず窓口で直接問い合わせることで書類の差し戻しを減らせます。

談先は、お困りの内容に合わせて選ぶと解決がスムーズです。

9-2. 社会保険労務士(社労士):書類作成と「計算のプロ」

「平均賃金の算定」「会社の休職規程や給与の支払い」など、実務的な計算や書類の整合性に不安がある場合は、社労士が力になります。

9-3. 弁護士:すべて対応可能の専門家

弁護士は、労災申請から会社とのトラブルまで全て対応が可能です。


相談先に迷った場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。

特に、会社が労災を認めてくれない(事業主証明を拒否された)場合や、事故の状況について会社側と意見が食い違っている場合は、速やかに弁護士へご相談ください。

  • 証拠の整理と交渉
    弁護士が介入することで、客観的な証拠を揃え、会社との交渉を有利に進められます。
  • 上乗せの賠償請求
    労災保険からの給付だけでなく、会社に対する慰謝料などの損害賠償請求が可能かどうかも含め、トータルでサポートできるのが弁護士の強みです。

10. まとめ

様式8号は、療養のために働けず賃金を受けられない期間の休業(補償)等給付を請求する重要書類です。

入手先・提出先・提出タイミングを押さえ、記載内容の整合性、別紙や証明の漏れを重点的に確認して、スムーズな支給につなげましょう。


弁護士法人一新総合法律事務所では、労災問題を解決するためのフルサポートをおこなっています。


労災の手続きや会社への対応でお困りの方は、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。あなたの状況に合わせた最適な解決策をアドバイスいたします。

ぜひ、お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。

ご相談予約専用ダイヤル

0120-15-4640

受付時間 平日9:00-18:00/土曜9:00-17:00

この記事を監修した弁護士
弁護士 谷尻 和宣

谷尻 和宣
(たにじり かずのぶ)
弁護士法人一新総合法律事務所 理事・松本事務所長・弁護士

出身地:京都府
出身大学:京都大学法科大学院修了
主な取扱分野は、交通事故などの事故賠償案件と相続。そのほか、離婚、金銭問題など幅広い分野に精通しています。
保険代理店向けに、顧客対応力アップを目的として「弁護士費用保険の説明や活用方法」解説セミナーや、「ハラスメント防止研修」の外部講師を務めた実績があります。