労災による損害賠償の基礎知識~相場・算定方法・請求手続きまで徹底解説~

目次

労働中の事故や疾病(ケガや病気)による損害は、国の制度である「労災保険」からの給付金だけでなく、事案によっては会社(使用者)に対して民事上の損害賠償請求ができる場合があります。

労災保険は迅速に支給される公的な補償制度ですが、「慰謝料」は一切含まれず、休業補償も給与の全額ではありません。

そのため、労災保険だけでは精神的苦痛や将来的な逸失利益(将来得られたはずの収入)をカバーできず、最終的に十分な補償を受けられないケースが大半です。


本記事では、損害賠償の考え方や算定のポイント、請求の流れ、弁護士に依頼するメリットなど、労災損害賠償に関する重要な知識をまとめています。

過失相殺や素因減額など、賠償額が減ってしまう要素もしっかり解説しますので、今後のトラブル回避に役立ててください。

1. 労災の損害賠償とは何か

労災における損害賠償請求とは、労災保険でカバーしきれない損害(慰謝料や休業損害の不足分)を、会社(使用者)に対して請求することです。


労災保険は最低限の補償に留まり、精神的苦痛に対する「慰謝料」などは支給されません。そのため、本来受け取るべき適正な補償を得るためには、会社への民事上の損害賠償請求が不可欠です。


会社に対しては、安全配慮義務違反や使用者責任を根拠に、民事上の損害賠償を請求することが可能です。


この時、被害者側の不注意(過失)や健康状態(素因)といった理由による減額が生じる点も理解しておく必要があります。

1-1. 労災保険と民事損害賠償の関係

労災保険は、業務上災害や通勤災害が起きたときに、労働基準法等に基づき国が一定の給付を行う制度です。

【労災保険と損害賠償の違い】

  • 労災保険
    治療費(療養補償給付)、休業補償(休業補償給付)、後遺障害(障害補償給付)、死亡時(遺族補償給付・葬祭料)などが支給されます。
    しかし、慰謝料(精神的損害)は一切支給されません。
  • 民事損害賠償
    治療費や休業補償などだけではなく、労災保険では補いきれない「慰謝料」や「休業損害の残り(約20%~40%分)」、「逸失利益の不足分」について、使用者の過失や安全配慮義務違反が認められるときに請求するものです。

結果として、被災者は労災保険給付と民事上の賠償金をあわせて受け取ることができます。

ただし、同一内容の補償を重複して受け取ることはできません。

二重取りを避けるために「損益相殺(そんえきそうさい)」という調整が行われます。

1-2. 安全配慮義務と不法行為に基づく責任

会社(使用者)には、労働契約にともなって労働者の安全や健康を保護し、配慮する義務が生じます。


この義務を安全配慮義務といいます(労働契約法第5条)。

会社はこの義務に違反すると、債務不履行責任(民法第415条)に[和谷2.1]問われる可能性があります。

安全配慮義務違反の具体例

  • 高所作業なのに転落防止の柵や安全帯(命綱)を用意しなかった。
  • 機械の点検を怠り、誤作動による事故が発生した。
  • 過重労働(長時間労働)を放置し、従業員がうつ病などの精神疾患を発症した。

たとえば工事現場で適切な安全措置を講じなかった結果、従業員が負傷した場合などは、企業が直接的に損害賠償責任を負う事態へと発展します。

損害賠償請求には、会社の安全配慮義務違反を示す客観的な証拠が不可欠です。

会社の管理体制の不備などを立証するため、早期の証拠収集が鍵となります。

1-3. 使用者責任を問われる場合とは

使用者責任(民法第715条)とは、労働者が業務中に第三者に損害を与えた場合や、労働者自身が同僚のミスで被害を受けた場合に、使用者としての事業主が負う責任のことです。

事業主の責任は、従業員自身の不注意だけでなく、業務の内容や従業員に対する指示の仕方、職場の安全管理の状況に基づいて問われることがあります。

とくに、職場環境の安全性が確保されていないと認められた場合には、安全配慮義務違反だけでなく、使用者責任に基づく損害賠償が認められるケースも多くあります。

事業主としても企業法務の観点から事前のリスク管理が欠かせません。

2. 労災の損害賠償で認められる主な費目

会社への損害賠償請求では、治療費や休業損害などの「財産的被害」に加え、労災保険では一切補償されない「精神的損害(慰謝料)」も請求可能です。

請求漏れを防ぐため、認められる主な費目を確認しておきましょう。

2-1. 治療費・介護費用・入通院費

労災事故により発生した治療費やリハビリ費用、そして通院にかかる交通費などは、必要かつ相当な範囲であれば損害賠償の対象となります。

これらは通常、労災保険の「療養補償給付」から全額(現物給付または現金給付)が支給されます。

ただ、労災保険の適用外となる個室使用料や高度医療(未承認の医薬品や機器を用いる先進的な治療技術)の費用などは損害賠償の対象となり得ます。


また、重度の後遺障害が残る場合には、将来にわたり長期的な介護や補助器具が必要になることもあります。

こうした将来介護費用も、労災保険の「介護補償給付」の範囲内に収まらない部分については上乗せして請求し、実費相当分をカバーしていくことが重要です。

2-2. 休業損害(休んだ期間の補償)

休業損害とは、事故によって就労が不可能となり、本来得られたはずの収入が失われた損失を補償するものです。

休業損害の補償内容

  • 計算式
    事故前の1日あたりの基礎収入 × 休業日数
  • 労災保険との関係
    労災保険からは、給付基礎日額の60%(休業補償給付)+ 20%(休業特別支給金)の合計80%が支払われます。
  • 損害賠償
    会社に対しては、本来の給与の100%から、労災保険の休業補償給付(60%部分)を差し引いた残額(約40%)を請求できます。
    なお、特別支給金(20%部分)は損益相殺の対象とならないため、実質的に被災者は本来の給与以上の額(約120%相当)を受け取ることができる可能性があります。

2-3. 慰謝料(精神的苦痛への賠償)

慰謝料は事故による痛みや後遺症、精神的苦痛などを金銭的に評価し、賠償するものです。

労災保険からは慰謝料が一切出ません。

そのため、慰謝料の部分は全額を会社側に請求する必要があります。

  1. 入通院慰謝料
    入院や通院の期間・頻度に応じて算定されます。
  2. 後遺障害慰謝料
    後遺障害が残った場合、障害補償給付の等級(1級~14級)に応じて算定されます。
  3. 死亡慰謝料
    被害者本人の慰謝料に加え、遺族固有の慰謝料が認められます。

特に重度の障害が残ったり、長期入院・療養が必要となったりした場合、慰謝料の金額だけで数百万円~数千万円と大きく増えることもあるため、適切な算定が重要といえます。

2-4. 逸失利益(将来にわたる収入減の補填)

後遺症が残った場合、労働能力が低下し、将来得られるはずだった収入が減ってしまうため、それを「逸失利益(いっしつりえき)」として請求できます。

逸失利益の計算式

  • 基礎収入
    事故前年の年収が基準。
  • 労働能力喪失率
    後遺障害等級に応じて決まります(例:1級なら100%、14級なら5%)。
  • ライプニッツ係数
    将来受け取るお金を前もって受け取るための利息控除の係数。

特に、家計の主な担い手が重い後遺障害を負った場合などは、家族が生活の基盤を失う可能性が高いため、逸失利益の正確な計算と会社との交渉が欠かせません。

2-5. その他積極損害(交通費・付添看護費など)

治療費や慰謝料とは別に、入院や自宅療養中の付き添い費用、特別な車両や移動手段が必要になる場合の交通費なども損害賠償の対象になる場合があります。


実費精算が基本となりますが、家族が付き添う場合でも医師の指示等により必要性が認められれば、「付添看護費」として費用換算(1日あたり数千円程度)される場合があります。


こうした費目は見落とされがちです。

実際の生活負担を減らす上で重要な補償となるため、請求にあたっては明確な根拠と領収書類を手元に揃えておくことが大切です。

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3. 損害賠償額の算定で重要なポイント(過失相殺・素因減額・損益相殺)

損害額からどのような要素が差し引かれるのか、減額要因の仕組みについて解説します。


損害賠償額を算定するとき、実際に発生した損害の全額がそのまま認められるとは限りません。


被害者にも過失がある場合は過失相殺が行われますし、持病や体質などの素因が損害の拡大に影響している場合には素因減額がなされることもあります。

また、労災保険や健康保険、その他の保険金をすでに受給している場合には、二重取り防止の観点から損益相殺が行われるため、結果として請求できる金額が下がることもあります。

3-1. 損益相殺の仕組み

損益相殺(そんえきそうさい)とは、被害者が同一の原因(労災事故)によって保険金や公的給付などの利益を得ている場合に、その分を損害賠償額から差し引く制度です。

「二重取り」を防ぐために行われます。

  • 差し引かれるもの
    労災保険の給付(療養補償給付、休業補償給付、障害補償年金の前払い一時金分など)、障害厚生年金など。
  • 差し引かれないもの
    労災保険の「特別支給金」(休業特別支給金、障害特別支給金など)、生命保険金など。

この計算は非常に複雑で、どの項目をどこから控除するかによって最終的な受取額が変わるため、専門家に確認しておくと安心です。

3-2. 過失相殺・素因減額の考え方と具体例

過失相殺とは、事故発生や損害拡大に被害者自身の不注意も影響していた場合、その割合に応じて賠償額を減らす制度です。

具体例:ヘルメット着用指示を無視して作業し、頭部を負傷した


素因減額は、被害者の持病や体質が損害の拡大に寄与している場合に認められます。

具体例:もともと被害者に 重度の腰椎椎間板ヘルニアの持病(既往症)があり、労災事故で症状が悪化した場合

3-3. 判例から見る過失割合

実際の過失割合は個別事案によって判断が異なります。

裁判所は事故の態様や管理責任、安全措置の不備などを総合して判断します。


たとえば、作業員が安全マニュアルを守らず自ら危険区域へ立ち入った事例では、被害者側の過失が大きいと評価されることもあります。

裁判例

建設現場転落事故│命綱(安全帯)未使用による転落と企業の安全指導義務(東京高等裁判所[平18.5.17判決])

  • 事案と結果
    建設現場の高所で作業していた労働者が、足を踏み外して転落し死亡した。事故当時、労働者は安全帯(命綱)を着用していなかった。
    この現場の元請会社では、1ヶ月前にも同様の転落死亡事故が発生しており、労働基準監督署から厳重な指導を受け、「安全帯着用の徹底」を誓約していた直後であった。
    → 過失相殺 50%(労働者側の責任が重い)
  • 被災労働者の過失割合が高くなったポイント
    1.自己防衛の放棄a
    高所作業での安全帯不使用は自殺行為に等しく、会社の安全設備不備(ネット未設置等)を考慮しても、本人の責任は免れない。
    2.警告の無視による重い規律違反
    通常、安全帯未使用の過失は3〜4割程度だが、本件は「直前の事故により再三の厳重指導が行われていた中での違反」であったため、個人の規律違反が極めて重いと判断された。

一方で、会社側の安全教育が形骸化していたり、安全マニュアル違反が黙認されていたりした事情があれば、会社側の責任(安全配慮義務違反)が重く見られ、被害者の過失割合が低くなることもあります。

判例を参照することで具体的な相場や事例の方向性を把握できます。

4. 労災の損害賠償金の相場と計算方法

慰謝料や逸失利益などの損害賠償の算定には、次の「3つの基準」が存在します。

【慰謝料・逸失利益の相場】

  1. 労災保険基準
    国が決めた定額・定率の基準(慰謝料なし)。最低限の補償。
  2. 自賠責基準
    自動車事故の場合の最低限の補償基準。
  3. 弁護士基準(裁判所基準)
    過去の裁判例に基づく基準。被災労働者にとって最も金額が高くなる基準です。

会社側からの提示額は低く見積もられていることが多いため、以下の弁護士基準(相場)を知っておくことが大切です。

4-1. 慰謝料の相場と後遺障害等級との関係

慰謝料は、後遺障害等級が重くなるほど高額になります。

以下は「後遺障害慰謝料」の弁護士基準の目安です。

参照 後遺障害等級と慰謝料(例)
後遺障害等級弁護士基準(相場)労災保険(障害特別年金/障害特別一時金)
第1級2800万円給付基礎日額の313日分(年金)
第5級1400万円給付基礎日額の184日分(年金)
第10級550万円給付基礎日額の302日分(一時金)
第14級110万円給付基礎日額の56日分(一時金)

※上記に加え、別途「入通院慰謝料」が請求可能です。

労災保険ではこれらの数百万円~数千万円規模の慰謝料が一切出ないため、会社への請求がいかに重要であるかがわかります。

4-2. 死亡事故の場合の損害賠償金の目安

死亡事故の場合、残された遺族に対しては、慰謝料だけでなく逸失利益も重要な請求要素となります。

  • 死亡慰謝料(弁護士基準)
    • 一家の支柱の場合:2,800万円程度
    • その他の方の場合:2,000万円~2,500万円程度
  • 逸失利益
    被害者が生存していれば将来得られたはずの収入から、本人の生活費控除分(30%~50%)を差し引いて算定します。

これらを合計すると、数千万円からケースによっては1億円を超える損害賠償が認められる例もあります。

4-3. 重度後遺障害の場合の損害賠償額

高次脳機能障害や脊髄損傷などの重度後遺障害(1級・2級など)が認められる場合は、長期的な介護費用といった将来的負担が大きく、その分逸失利益や慰謝料が増加します。

「将来介護費」として、職業付添人の場合は実費全額、近親者介護の場合は1日につき8,000円程度が認められる傾向にあります。

これらは平均余命までの期間分請求できるため、非常に高額になります。

4-4. 示談交渉・裁判例の紹介

実務では、示談交渉による解決が多いものの、金額に大きな隔たりがある場合は裁判にもつれ込むケースがあります。


過去の裁判例では、被害者の年齢や職業、家族構成などを総合的に考慮して賠償金を算定する傾向が見られます。


示談の場合でも、弁護士が入ることで「もし裁判になったらこのくらいの金額になる」という判例基準(弁護士基準)を前提に交渉を進めることができるため、本人交渉よりも増額できる可能性が高まります。

弊所の解決事例

【フォークリフト転落事故】会社提示額から大幅増額、併合9級で和解解決

フォークリフトによる高所作業中に転落し、肘と骨盤を骨折。
労災で併合9級が認定された事例です。

当初、会社側は示談に消極的でしたが、弊所の弁護士が介入し訴訟を提起。
事故の状況を精査し、将来の減収(逸失利益)や慰謝料の正当性を粘り強く主張しました。

結果、労災保険で補償されない賠償金を得るなど、ご依頼者の納得いく内容で全面解決に至りました。

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5. 労災の損害賠償請求が可能となるケースと法的根拠

すべての労災事故で会社に損害賠償請求ができるわけではありません。

どのような法的根拠が必要なのでしょうか。

5-1. 安全配慮義務違反による損害賠償請求

企業が労働契約法第5条の「安全配慮義務」に違反した場合です。


具体的には、「脚立が壊れているのを知りながら使用させた」「安全装置を外すよう指示した」「高熱が出るほど体調が悪いのに休ませなかった」など、会社の労務管理や設備管理に落ち度があった場合、損害賠償請求が認められます。

5-2. 不法行為責任・使用者責任を追及する流れ

会社そのものの不法行為責任(民法第709条)に加え、現場監督や同僚のミスでケガをした場合は、会社に対して「使用者責任」(民法第715条)を追及できます。


まずは被害者側が企業の過失や因果関係を立証できる資料を集め、内容証明郵便等で請求を行います。

その後、示談交渉を経て合意が得られなければ裁判手続きに移行します。


企業側の管理体制や監督責任の有無が争点となるため、社内規定やマニュアルなどの調査が鍵となります。

損害賠償請求が可能かどうかや、証拠収集の方法について、法律の専門家である弁護士に事前に相談のうえ、アドバイスを受けておくと良いでしょう。

5-3. 第三者行為災害・工作物責任が関係する場合

企業側と第三者の責任割合をどう認定するかはケースバイケースです。

事案によっては複数の関係者を巻き込んだ複雑な賠償請求になる場合もあるため慎重な検討が必要です。

  • 第三者行為災害
    通勤中に他人の車に追突された場合や、取引先の従業員のミスでケガをした場合など、会社以外の第三者が加害者のケースです。 この場合、加害者本人やその保険会社に請求します。
  • 工作物責任
    労災事故の原因が、施設や設備など、いわゆる工作物の欠陥(瑕疵)が原因の場合、その占有者・所有者に責任を問えます(民法第717条)。

6. 損害賠償請求の時期と時効

損害賠償請求は、原則として「症状固定後」に行います。

また、請求には時効(期限)があり、これを過ぎると一切請求できなくなるため注意が必要です。

6-1. 賠償金額の算定が可能になるタイミング

通常、損害賠償の具体的な金額を確定させるためには、治療が完了して「治癒」するか、これ以上良くならない「症状固定」となって後遺障害等級が決まることが一つの目安となります。


症状固定後に初めて、逸失利益や後遺障害慰謝料の算出が可能になるためです。

治療中に会社から低い金額での示談(和解)を迫られても、安易に応じないよう注意が必要です。

6-2. 消滅時効の起算点と請求期限

権利には期限(時効)があります。

時効が完成すると一切の請求が不可能となるため、以下の期限を必ず確認してください。

  • 安全配慮義務違反(債務不履行)
    権利を行使できることを知った時から5年
    (または権利行使できる時から20年)。
  • 不法行為責任
    損害および加害者を知った時から5年(生命や身体に対する不法行為の場合)
    (権利を行使することができる時から20年)。

なお、労災保険の給付請求にもそれぞれ時効(2年または5年)があるため、早めの手続きが肝心です。

労災保険の請求期限となる時効について弁護士が解説

労働災害(労災)で被災した労働者の権利である「労災保険」にも消滅時効が存在します。 期限に間に合わない場合には給付金や賠償金を受けられなくなるため注意が必要です。 本記事では労災保険の基本的な時効の考え方や対処法について […]

7. 損害賠償請求の具体的な流れ(示談・裁判手続き)

実際に損害賠償を請求するときの手続きや交渉の流れについて解説します。

7-1. 示談交渉の進め方と注意点

示談交渉とは、裁判所を通さずに当事者同士(または代理人)で話し合って解決する方法です。


まずは事実関係の整理と証拠収集が欠かせません。

労災の場合は労災申請に関する書類や診療明細書、医師の診断書、勤務記録など、各種資料の取り寄せが重要です。

相手側の保険会社や弁護士とやり取りをする場合もあり、専門知識がないと相手のペースで進められる恐れがあります。

そのため、この段階で弁護士に相談しアドバイスを受けておくと良いでしょう。

7-2. 裁判手続きへの移行と証拠収集

示談が決裂した場合は訴訟(労働裁判)を起こして裁判で争うことになります。


裁判手続きでは、客観的証拠の有無が解決結果に大きな影響を与えます。

治療経過や損害の範囲を示す診断書、領収書、目撃証言、事故報告書など、事案を総合的に裏付ける資料が必要です。


裁判は、通常1か月~2か月に1回のペースで期日を重ねますので終了するまで1年以上かかることもあります。

ただ、主張が出つくした段階で、裁判所から和解案として適正な金額が提示され、裁判上の和解により解決することも多くあります。

7-3. 専門家(弁護士)への相談メリット

労災や損害賠償の事案に強い弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。

弁護士に依頼するメリット

  1. 賠償額の増額
    最も高額な「弁護士基準」での交渉が可能になります。
    最終的な獲得金額の増額を期待できます。
  2. 手続きの代行
    複雑な計算や書類作成、会社との交渉をすべて任せられます。
    直接交渉せずに済むため、精神的負担を軽くできます。
  3. 適切な等級認定
    後遺障害等級の申請サポートや、結果に対する不服申し立て(審査請求)を行えます。

弁護士費用が心配な場合でも、「完全成功報酬制(着手金無料)」を採用している事務所や、弁護士費用特約(自動車保険や火災保険に付帯)が使えるため自己負担なく依頼できるケースがあるため、まずは相談してみることをお勧めします。

8. まとめ

労災事故による損害は、労災保険の給付だけでは完全には補償されません。

「慰謝料」や「逸失利益」を含む十分な補償を得るためには、会社に対する民事損害賠償請求が必要不可欠です。


ご自身やご家族の将来を守るためにも、会社側からの提示額を鵜呑みにせず、まずは弁護士などの専門家に「適正な賠償額はいくらか」を相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

専門家のサポートを得ることで、適正な賠償金を確保し、安心して治療や生活再建に専念できる環境を整えることができます。


弁護士法人一新総合法律事務所は、あなたの状況を法的な観点から分析し、労災申請から会社との交渉、損害賠償請求まで、あなたの正当な権利を守るために最適なサポートをおこなっています。


また、労災問題に関する初回相談を無料で受け付けています。

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この記事を監修した弁護士
弁護士 谷尻 和宣

谷尻 和宣
(たにじり かずのぶ)
弁護士法人一新総合法律事務所 理事・松本事務所長・弁護士

出身地:京都府
出身大学:京都大学法科大学院修了
主な取扱分野は、交通事故などの事故賠償案件と相続。そのほか、離婚、金銭問題など幅広い分野に精通しています。
保険代理店向けに、顧客対応力アップを目的として「弁護士費用保険の説明や活用方法」解説セミナーや、「ハラスメント防止研修」の外部講師を務めた実績があります。